DCDCコン開発(59) スイッチングドライブ回路の再調整

オーダーメイドの基板に部品を載せてDC-DCコンバータを調整中。ソフト的な諸々の対策については別途レポートするとして、今日は今直面しているスイッチングの問題点。

基板を起す前の試作機では、ハイサイドのスイッチングにNchMOS-FETとして東芝の2SK2391を利用し、周辺の抵抗値などを調整してきた。それに対してオーダー基板では、コストダウンの視点からインターナショナルレクティファイアのIRFW/I540Aという石を載せてある。さらに、電力変換ロスを少なくするために、ローサイドはショットキーバリアダイオードからMOS-FETに変更した。

ゲートドライブの波形を確認すると、こんな感じ(グラフ赤)で立ち下がり時にリンギングしてしまっている。ただ、ローサイドゲート(グラフ青)については特に問題は無い。

MOS-FETは、構造上、ゲートはコンデンサとなっている。ONするときは、そこに、電荷を流し込むとソース/ドレイン間に電流が流れる仕組み。OFF時には、電荷を抜取ることになる。ゲートドライブ回路では、ON/OFFのバランスをとりながら電荷の注入と抜取りをうまく制御しなければならない。早すぎると、配線のインダクタ成分と電流の関係でこのようなリンギング(発振)が生じてしまう。リンギングからは、周辺に高周波ノイズを発するとともに、予定外のスイッチのON/OFFが生じ、ターゲット電圧を作成する上での外乱にもなる。

K2391では発生していなかったリンギングがIRFW/I540Aではなぜに発生してしまったか。仕様から追掛けてみる。

大きく関連する仕様パラメータは、以下の6種類。
Ciss:   ON時のゲートのキャパシタンス
Coss:  OFF時のゲートのキャパシタンス
Tr:      ON時の立上がり時間
Tf:      OFF時の立下がり時間
Ton:    ON時遅延時間
Toff:   OFF時遅延時間

これらが石によってどのように違うか。
                K2391       FW/I540A
Ciss:          1100            1320pF
Coss:           400              325pF
Tr:                 20                18ns
Tf:                 50                56ns
Ton:              30                18ns
Toff:            140                90ns
う~~~~む。。。。あまり違わない。あえて言えば、東芝製の方がON/OFF時の遅延が大きいくらい。

一般的にNchMOSFETはONよりもOFFの方がレスポンスが悪い。遅延のためにハイサイドのスイッチがOFFする前にローサイドがONしてしまうと一瞬貫通電流が流れる。これは、抵抗がほぼないプラスとマイナスをショートさせた状態となり、極めて危険だ。そのため、今回利用しているIRS2108というドライバICは、HIoutとLOoutのゲート信号の間に540nsのデッドタイムという遅延が組込まれている。それだけの時間が確保されているので、貫通電流の影響ではないはず。

IRS2108のデータシートを確認すると、ON時の吐出し電流は290mAに対してOFF時の吸込み電流は600mAとおよそ倍である。Tfが多少遅いにしても、600mAの電流が一瞬で流れると言うことは、配線のインダクタ成分がかなり影響しそうだ。

つまりは、石の特性による変化ではなく、試作ボードのワイヤー配線のインダクタンスと基板の回路パタンのインダクタンスの違いと言うことか。HIonにはさんでいる33Ωの抵抗をもう少し大きくして様子を見てみる必要がありそうだ。ただ、抵抗を大きくすると、ON時のレスポンスが悪くなるので、その分はロスが増えることになる。そのあたりのバランスをオーダーメイド基板でもう一度調整し直さなければならないようだ。なかなか奥が深い世界である。

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