昨日は、息子が朝から塾で不在、娘もバイトで不在、奥さまは箱根駅伝と邪魔が入らない環境をゲット。夕方から実家にお年始に行かなければならなかったが、それまでの時間ががっつり確保できたので、懸案になっていたDC-DCコンのFETドライブ回路を全面的に見直した。
パワコンの性能指標に変換効率というものがよく使われ、世に出ている商品は90%台で競い合っている状況。ものによれば、96%や98%などというものもある。しかし、実際問題、そんな効率が容易に実現できるわけがない。効率が悪いと、それはすべて熱になってしまうので、効率が良ければ熱の出ないパワコンができるはず。しかし、売られているものは、すべてと言っていいほどファンがぶんぶん回っている。つまりは、熱をたくさん出すので、強制的に空冷しなければならないと言うこと。
メーカ公表の効率値の実態はと言うと、特定の条件下の最も良い効率と言う意味であり、裏を返せば条件が違えば効率は落ちると言うことと理解すべき。しかし、メーカの人は、そんなことは言わないので、素人は数字にだまされて選択してしまうと言うのが実情。
世の中、一般的に最大ピークは出るが条件が外れると大幅に下がるか、平均的に上げようとするとピークはあまり高くならないかのどちらかであり、一概に最大効率の方が良いというわけではない。利用環境に応じて、適切なものを選ばなければならない。
講釈は、ほどほどにして。それでは、パワコンの効率とはどういう意味か。パワコンは電力変換装置であり、効率向上とは、変換時のロスを最小限にすることである。電力変換の肝は、スイッチング素子で10kHz~数MHzの高速でON/OFFを繰返す。理想的スイッチ波形は矩形波となる。しかし、実際には理想とは程遠いのが現状。
ロスとは、大きく2つの要因に起因する。定常状態の動的状態のロスである。定常状態とは矩形波の平らな部分であり、動的状態とはON/OFFが切替わる部分。
定常状態のロスは、ON時の内部抵抗とOFF時リーク電流であり、スイッチング素子の性能に起因するため素子の性能に縛られる。入手可能な素子から使用状況に適したものを選ぶ選択力に依存する。
一方、動的状態のロスはスイッチングの遅さによる電力ロスであり、スイッチング素子のドライブ回路の出来如何に関わる。OFFからON(Rais)の速さ、ONからOFF(Fall)の速さを如何に実現するか、設計の腕にかかっている。しかし、あまり早くすると、オーバーシュート/アンダーシュートが激しくなり、ノイズ発生の原因となる。背反する両者のバランスが重要となる。
写真上は、今まで検証環境で使っていた回路と実測波形。下が、昨日LTSpiceを駆使して回路をシミュレーションしながら設計した回路と実測波形。比較すれば明らかなように、下のかなりきれいな矩形波に対して、上はかなりゆがんでいる。このゆがみ部分が効率悪化の原因となる。


回路設計の肝は、FETのソースゲート間電圧を10V以上確保しつつ、定格20V未満に抑えるかという点と、ドライブ回路のトランジスタを定格内電流で駆動するかという2点。これだけ部品数が増えると、一つ一つ手計算するのは無理。そこでシミュレータが役に立つ。抵抗やコンデンサの値を変えつつ、波形を確認して最適値を絞り込んでいく。結果が、下写真の回路と波形。実測はシミュレーション結果よりも、きれいな波形となった。 これで、かなり効率が改善されたはずなので、発熱が少なくなるはず。検証してみようと思う。太陽が当り始めたので、検証してみたところ、今までは、2Aも流すと大型のヒートシンクがちりちりになり、ファンを回さないとならないほどだったが、新しい回路は、2A程度と同じ電流にもかかわらず、ヒートシンクはほんのり暖かくなる程度で、ファンは回す必要は無し。効果覿面のようだ。


