SoYuDCPower開発(34) ダウン原因の不具合改修

早朝から早々にオフグリッド直流電力システムがシステムダウンした理由について原因解析を始めた。

事象としては、ソーラーパネルが発電していないにも関わらず、直流バス電圧がバッテリ充電モード時の電圧に固定されていた。バッテリコントローラを確認すると、CC(固定電流)モードで充電動作をしていた。しかし、供給源が無いにもかかわらずどこから電力は供給されているのか。この現象から、電流計測機能に何らかの不具合が生じていると当たりをつけていた。

電流の流れを正確に把握するため、バッテリコントローラの状況を詳しく調べていると、おかしな症状に気づいた。電流値が0.0Aに固定されているコントローラ基板が2枚ある!(2)301基板5号と(4)301基板4号だ。基板温度を確認すると、周囲温度よりも高くなっており、コイルは暖かくなっていることから、電流はそこそこ流れているはずだ。ということは、基板の電流計測回路部分で何らかの不具合が生じているはず。

301基板5号と4号を取り外したところ、バス電圧がバッテリ放電モード電圧になり正常化した。この作業を行ったのが早朝であり雨模様で曇天だったのでソーラーはほとんど発電していないはずだ。バス電圧の異状は301基板4号、5号に起因することはほぼ確実である。さっそく不具合の原因特定と改修をすることに。

301基板4号、5号ともに今回新たに作り、クリームはんだではんだリフローしたものだ。更に、同時に作った301基板3号も不具合が出て停止してしまった。新規に作った基板全てを改修しなければならないということ。ちょっと気が滅入る。

気を取り直して回収作業に取り掛かる。先ずは、301基板4号の電流計測回路から確認に入る。バッテリコントローラSY-BT-CTL-301の回路図は以下の通り。

電流センシング部はこうなっている。

回路を追いながら抵抗値が正しいか確認し始めると何と! 入力GND側端子P2とR1下部のIC1pin2間の抵抗値がMΩ級に。何度か測り直しても同様に。原因はR1のはんだ不良と想定。R1を念入りに半田付けし直した結果、正しく電流値が計測できるようになった。他の動作も確認したが、他には不具合はなさそうだ。

続いて301基板5号も同様に電流計測回路の確認作業に入る。結果、R10のはんだ不具合が見つかり修正した結果正常に動作することが確認された。

クリームはんだでリフローする際に基板の部品接合部パタンにクリームはんだを事前に塗る。電源系の基板は熱伝導性を十分に考慮しなければならないため、電流が流れる部分のパタンは太く、更にできれば表裏に同じパタンを描く。そして表裏の間にビアを多く設けて熱容量を大きくして表裏に分散させて放熱しやすくする。ビアは細いスルーホール状だ。リフローする際に、クリームはんだが熱で溶けるとビアに吸い込まれる場合がある。すると、表面実装部品の端子接合に十分な量のはんだが足りなくなり、接合不良となる場合がある。まさに今回はそれに起因する不具合だ。

それにしても、新規に作った基板2枚が同様に電流計測部ではんだ不良が生じたということはこの部分のパタン設計があまりよくないということだろう。今回の教訓をもとに、以後のパタン設計では十分注意しようと思う。

4号と5号をシステムに組み込み、鉛バッテリ3セットでシステム運用して動作を確認することに。
(1) Konce LiFePO4とバッテリコントローラ301基板(新規3号):不具合につきシステムから離脱
(2) ACDelco M31MFx2と301基板(新規5号):改修
(3) EC-EV500D5Ax2(1,2)と301基板(改修2号)
(4) EC-EV500D5Ax2(3,4)と301基板(新規4号):改修

バス電圧は正常になった模様。301基板3号の改修報告については次回レポートに持ち越すこととする。

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