久高島訪問記 其の4 (番外編)

2004年正月

- とみぃ -

地域活性化に関する取り組みを進めていた私は、ずっと気にはなっていたが、何ら協力できていない久高島山村留学センタの坂本さんに年賀メールを出した。

仕事の関係で、政治家とのパスも多少はでき、その辺りの相談を坂本さんに投げかける趣旨で。

数日後に届いた、坂本さんの返事には、信じられない文字が並んでいた。(一部名前は修正)

『まず創結マスターさんに謹んでお知らせすべきことがあります。当センターで働いてくれていたトミーこと○○みえこが、さる10月11日、活動中の事故で他界しました。』

一瞬何のことか分からなかった。みえこと言えば、バーベキューに飛び入りして獅子座流星群見て、そしてバドミントンの大会に出かけていった・・・・あの、元気な娘だよなぁ。。。。

正月気分が吹き飛んだ。

新聞記事を検索するとすぐにヒットした。

「二〇〇一年十一月、しし座流星群を久高で眺めた。助け合って暮らす島人(しまんちゅ)たちの生活に魅せられ、移住を決めた。」の一節には、思わず涙がこぼれた。

その後、何度か、坂本さんとメールのやりとりをした。この事件のために、留学センタをやめてしまうのではないかという気がしたが、坂本さんは、それほど柔な方ではなかった。ただ、外から久高島に入って、外から子ども達を連れてきてと、少なからず、保守的な島民の方々とは摩擦もあったことだろう。

少なくとも、自分は部外者であり、意見する立場にはないわけで、坂本さん、そして、留学センタを見守るしかなかった。

一度、トミィの供養に久高を訪問したかったが、仕事が忙しく、なかなかかなわなかった。
(それでも、ようやく、2006年2月に、何とかやりくりして、久高島を訪問することができたのである。)

坂本さんへのメール

Friday, January 09, 2004 10:34 AM
Subject: たいへんご無沙汰しております

坂本さま

お世話になった創結マスターです。たいへんご無沙汰しておりますが、お元気でしょうか。

その後、沖縄の仕事から離れ、また地域での仕事からも離れ、社内の制度に係わる重たい仕事を担当しいていたため、なかなか身動きが取れませんでした。しかし、日本の地域に対する思いはずっとくすぶっておりました。

今の日本の状況は、財政状況の悪化を受け、三位一体改革が進められていますが、実態は名ばかりで地域をますます苦しい状況に追い込んでいる状況です。しかし、低成長時代にあってこのままの中央集権(大きな政府)が継続する事はかなり難しいでしょう。今月末から始まる28次地方制度調査会では、地方分権のための道州制への本格的な検討が始まるようです。

公共地域本部は、収支も厳しく弱小部署になりますが、今後の地方分権化の動きを先取りして、地域活性化に向けて、いろいろと策を練り始めているところです。

その一環として、民主党の副代表である岩國哲人さんとちょっとだけですがパスができました。ご存じかと思いますが、岩國さんはメリル・リンチ社本社上席副社長の座を捨てて出雲市長になったかなり変わった経歴の方です。私は、出雲市長になった当時から注目してきました。

岩國さんは神奈川8区から先の衆院選に出た事から、青葉台の駅前で良く駅頭演説をされておりました。年末に、地域の立て直しについて少々思う事をメールでお送りしたところ、お返事をいただきました。内容的には当たり障り無いものですが、「農業の再生」ということで、坂本さんが言われていた事を思い出しました。

今後、地域社会の再生について、すこし意見などを伝えていこうかと思っております。

まだ、新たな職場で、取り組み始めたばかりですが、地域を再生する、人を育てるという事は、この先の日本を考えれば、ごく当たり前に、真剣に取り組まなければならない事と思いますので、微力ながら協力していきたく思っております。

また、機会がありましたら、いろいろと刺激になるお話をうかがわせて頂きたく思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

公共地域ビジネス事業本部企画部地域ビジネス戦略担当 創結マスター様

拝啓新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
さて、昨年中はメールにて、貴重なご意見をお送り頂きどうもありがとうございました。また、選挙期間中は、駅頭で激励を頂きました事、厚くお礼を申し上げます。みなさまの厚いご支援により、当選させていただくことができました。
さて、ご指摘のとおり、「地域の疲弊」は今日のわが国の大きな課題です。私は、「農業の再生」と「高速道路の無料化」で、地方を抜本的に改革したいと考えております。具体的内容については、枚数が多くなり、たいへん恐縮ではありますが、同時にファックスさせて頂きましたので、お読み頂ければ幸いです。(なお、一月三舟のこれまでのバックナンバーは、以下のURLでご覧になれます。
http://www.nnn.co.jp/essay/sansyu/index.html)
また、2003年の3月にNTT動労組合北陸総支部のご主催で、「まちづくり」をテーマに講演させて頂きました。そのときのレジメも併せてファックスさせて頂きます。
まだまだ厳しい寒さが続きます。くれぐれもお体にお気を付けください。
また、ご家族、ご同僚の方々にもよろしくお伝えください。
敬具

2004年1月5日衆議院議員岩國哲人

坂本さんからの返事

御丁寧にありがとうございます。

まず創結マスターさんに謹んでお知らせすべきことがあります。
当センターで働いてくれていたトミーこと富田美江子が、さる10月11日、活動中の事故で他界しました。
私個人として、そして留学センターの活動にとっても、あまりに悲しく大きな損失でした。
また、このような形で地域の方々に御迷惑を掛けながらも活動を継続することの困難や矛盾とも、これからずっと向き合っていくことになると考え覚悟している現状であります。

この活動は私のような個人が行う例は少なく、他の多くの例は地域と行政が行っているのが実情です。
しかし、御指摘のように行政は次第にそのような効率の悪い所には力が注げなくなっています。
来年に控えた町村合併の影響については、各地の山村留学組織は戦々恐々の中にあると思います。

わたしはこの活動は沖縄の行政がスタートすればどれだけ素敵だろうかと、10年以上様々な形で訴えてきました。
甚だ微力だったため、その効無く、自分自身で始めるしかないことに思い至り、2001年に当センターを始めました。
思った以上の、子ども達に対する教育的効果、地域のご理解と共感そして活性化、社会的な認知と共鳴を得られてきたと思います。
他方、個人が限られた収入(子ども達の保護者からの月謝のみ)の中で職員を雇い、とても難しいこの子達を相手にした活動に全身全霊で取り組むということは、一見理想を追求しているようでいて、内に大きな無理(心身、経済など)、外部との矛盾(地域や学校の期待に応えようとどんどん仕事を引き受けること。「温度差」が拡大すること。など)を孕み大きくして来たと、今になって気付き反省しています。
今回の事故は、私の責任でありミスであることは明らかです。
しかしながら、上記のような矛盾や無理が25歳の女性に随分重い荷物となり、結果このような最悪の事態に至ったとも私は思っています。
それに対する答え(二度と起こさないという保証はできようがなく、一方で子ども達と社会の状況は悪化する。どうすれば事態が好転するのか)は誰も示さぬまま、責任や欠点だけを指摘されて終わりです。
これまでこれが自分のでき得る唯一の答えと考え、最善を尽くしてきたつもりでしたが、このような最悪な事態を生み出してしまい、「最善」とは程遠かったようです。
あらためて暗中模索する時期を迎えことを感じています。この社会とは、子どもを育てるとは、人が生き、死ぬとは・・・。
その問いを求めることが、そのままこの活動の力になると思い、模索しています。
必ず、この活動は継続し発展させます。トミーの遺志がそれだとわかっているからです。
この痛みを力にかえつつ、犠牲に報いたいです。

メールありがとうございました。思いつくまま書き連ね恐縮しております。よい年となりますようお祈りします。坂本

坂本さんへのメール

坂本さま

創結マスターです。

年始にお返事をもらってからご連絡せずに申し訳ありません。
富田さんの事はびっくりしました。新聞記事も読ませて頂きました。

坂本さんも、さぞたいへんだったでしょう。ですが、来年度以降も続けられるとの事。あまりお力になれず申し訳ありませんが、私も応援しています。

沖縄で仕事をしていた2001年に、沖縄での出来事を高校時代同期のメーリングリストに紹介していました。その際に、久高島で初めて富田さんに出会ったときのものがございました。中に一部、山村留学の新聞記事の無断引用があります。紹介したのは、友人達のクローズドグループという事でお許しください。

少しでも彼女の素顔に接する事ができればと思い紹介させて頂きます。
もし、可能であれば、彼女のご両親や、留学生たちにもご紹介頂ければ幸いです。(子供達にとって、あまり適切でない内容の部分は適宜削除して頂いて構いません。)

私からトミーへの言葉に代えて。

— 創結マスター

坂本さんからの返事

この問題を抱えたままも、活動を続けることが唯一の答えであることは、とても難しいことです。
それでも続けることがトミーの遺志であることは間違いのないことだと思います。

文を拝見いたしました。
あの獅子座流星群の夜、私や子供達も屋上や建物の周囲や、浜で一晩中雨のように降る星を見ていました。
その時,創結マスターさんやトミーのことは全然知りませんでした。
不思議な気がします。

お知らせ有難うございました.坂本

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