天別豊姫神社(あめわけとよひめじんじゃ)は、福山でも古い神社。
福山駅から広島県三次市の塩町駅をつないでいるJR福塩線で、福山から二つ目の神辺駅の近くで街中の幹線道路沿い。
地元では、よく知られた古い神社だという。そして、同じ敷地内にある稲荷神社も有名だという。
備後国式内社(延喜式神明帳に記述されている神社)という。延喜式が成立したのが平安時代の930年頃だから、その時点では既に存在していた。できてから、1000年以上が経っていると言うことになる。
ところで、祭神の豊玉姫って誰?
日本神話で、天上界から地上界に降り立ったのが、天孫・邇々芸命(ににぎのみこと)。その奧さんが、木花佐久夜毘売(このはなさくやひめ)。
その子どもが、火遠理命(ほをりのみこと,天津日高日子穂穂手見命)。またの名を山幸彦という。
山幸彦は、無くした海幸彦の釣り針を探しに行った竜宮城で、一目惚れして娶ったのが、海神・綿津見神の娘の豊玉姫命。
そしてできた子どもが鵜茅不合葺命(うがやふきあえずのみこと)。
子供を産むときに、八尋和邇(やひろわに:古事記)(龍:日本書紀)の姿に戻っちゃっているのを、覗いちゃだめよって言うのに山幸彦が伺い見たため、海の国と陸の国の間の交流が途絶えてしまったという。
山幸彦と豊玉姫の子ども、鵜茅不合葺命は、豊玉姫の妹 玉依姫神に育てられ、結婚までしてしまいます。そして、生まれたのが、神倭伊波禮毘古命(かむやまといわれびこのみこと)、つまりは初代天皇と言われる神武天皇なのです。
要は神武天皇のおばあちゃんが豊玉姫なのであります。
お話しのように、竜宮城の王様の娘ですから、海とは非常に関わりが深いお姫様でかつ、神武天皇よりも古い時代の、正統な血筋のお姫様の訳です。
さらに、祭神は、豊玉姫以外に、速進雄命(すさのおのみこと)に事代主神(ことしろぬしのかみ)です。スサノオは、出雲国を作った神だし、事代主は、大国主命(おおくにぬしのみこと)の子どもです。大国主は、スサノオの6世、7世の孫と言われていますので、スサノオも事代主も出雲の神様と言うことになります。
豊玉姫始め、全ての祭神は、神武以前の神々な訳です。
ヤマト(現在の奈良県)が、神武一派に支配される前の時代、瀬戸内を支配していたと言われる吉備王国が岡山あたりにあったと考えられており、福山もその支配下にあったことでしょう。
そう言った時代の香りが残っているのが、こういう古社であり、祀られている古い神様の陰影なのです。そう言うところに、どうしても惹かれてしまいます。
で、真夏の午後、炎天下を、長い石段を登るのは、苦痛以外の何ものでもないのですが、ゆっくりと一人で空気を感じたのであります。






本殿の周辺は、凛とした空気が張り詰めていて、キラキラした空気に満ちていました。


