今回オフグリッド直流電力システムがシステムダウンした原因はバッテリコントローラの電流計測回路不具合に起因するものだった。では、電流が計測できないと何が起こるのか。
バッテリシステム構成が以下として考察してみよう。
(1) Konce LiFePO4とバッテリコントローラ301基板(新規3号):電流計測回路不具合
(2) ACDelco M31MFx2と301基板(新規5号):電流計測回路不具合
(3) EC-EV500D5Ax2(1,2)と301基板(改修2号)
(4) EC-EV500D5Ax2(3,4)と301基板(新規4号):電流計測回路不具合
まず、第一に現象としてソーラー発電が行われていないにも関わらず、直流バス電圧がバッテリ充電モードになったこと。これは、バッテリコントローラの電流が正しく計測されていれば、バッテリからの電流が出ていることが検知されて放電モードに切り替わるが、電流が0のままなのでずっと充電モードのまま切り替わらないまま実際には電流計測回路に不具合が生じていた301基板3号、4号、5号で放電するものと充電するものが生じていた模様。どれが放電でどれが充電かは不明。
(1)の3号基板でシャント抵抗が破断したということは、ここに大きな電流が流れたことが想定される。放電側だったのか充電側だったのか。
バッテリコントローラでは、充電モードの時は、
CC(定電流充電) → CV(低電圧充電) → トリクル(小電流充電)
と電流と電圧によって切替制御をする。それぞれのモードでも電流が流れすぎないように常時監視をしているが、電流が計測できていないとその保護機能も働かない。
CCモードの時が制限されない電流が一気にバッテリに流れ込むので、バッテリ電圧は上昇しCVモードに移行するはず。CVモードで電流値が一定以上少なくなると満充電と判断して制御電圧を下げて電流値を制限するトリクル充電に移行するが、電流が計測できてないとずっとCVモードにとどまることとなる。
電力の法則より P = I x I x R
だから、10mΩ 1W の抵抗には I x I = P / R = 1 / 0.01 =100
であり I = 10A となるので、破断した抵抗には 10A 以上が流れたこととなる。
シャント抵抗はヒューズの機能も果たすよう設計しているので破断することで他の不具合、最大は火災のリスク軽減に大いに貢献してくれている。今回もそのおかげで最悪の状況に陥らなかったということだ。
電流が計測できてないので、実際の状況は知る由もないが、想定以上の電流が流れてしまったことは確かで、今回の教訓として電流計測回路の不具合は、常に意識してチェックを強化しなければならないと肝に銘じておくこととする。
事なきを得て、ノウハウもたまり、オフグリッド直流電力システムが元の安定した運用状態に復帰できたことは何よりだ。現在運用中のオフグリッド直流電力システムのバッテリシステムと分電盤を紹介しておこう。バッテリは左からKonce LiFePO4、ACDelco M31MFx2、EC-EV500D5Ax2、EC-EV500D5Ax2で鉛バッテリの上に配置しているグレーの四角い箱は鉛バッテリ延命再生機バッテリリフレッシャHBR-1000。これは自ら開発して現在もAmazonや直販で販売している結構優れもの。



